電車で読める数学の本

知ってる人は知っている、某所で紹介されていた本。前半はユークリッドの公理系から初めて、モデルの話、モデル化された世界で完全に記号的に証明が構成されるんだよという話を経て、ヒルベルト計画、そして不完全性定理までもってく。不完全性定理自体は、実にさらっとしか書いてないが、厳密な証明とかそういう本でもないしいいんでないだろうか。


著者は、あの「ゲーデルエッシャー、バッハ」の訳もしている方で、話の展開が実にうまい。証明とは何たるか、公理とは何たるかから初めて、ユークリッド幾何学が何なのか、非ユークリッド幾何学がいかにして生まれたのかなど、数学の歴史にふれながら最後まで実にスムーズに話が進むさまは見事だ。著者が何をみせんとしているかが伝わってくる。不完全性定理自体より、前半の方がおもしろいと思った。内容も平易(というか、難しい部分は省いているんだろう)で、数学の得意な高校生くらいなら読めると思う。特に前半は、数学の苦手な人に読ませたい内容だ。

ところで、ゲーデル不完全性定理を発表したのは、若干24歳の頃だとか。はぁ、そうですか・・・。