理系の物書き

さいえんす? (角川文庫)

さいえんす? (角川文庫)

最近、東野圭吾を読んでます。なんか、こうすっと入ってくるモノがあって、何かなぁと思ったら工学部での元エンジニア。そういわれて、あー納得、という気分。なんというか理系っぽいのだ。テーマがとか、出てくる単語が、とかではなくて、文の構成というか論理展開というか考え方とか。妙な親近感を覚える。


そんな東野圭吾のエッセイ集。理系の文筆家ならではの悩みとかがおもしろい。「理系って世の中的には少数民族だよね」みたいなはなしを以前誰かとしたけど、どうやらそのようだ。

NHK の『プロジェクト X』という番組を知っている人は多いだろう。事実、なかなかの視聴率を稼いでいるらしい。しかし残念ながら、私の周りにはあの番組が好きだという人間は少ない。あの番組について盛り上がれるのは、かつて私がエンジニアだった頃の知り合いだけである。

うお、そうなのか。どうも6年も理系 only の環境に身を置くと、世の中に順応できなくなるんじゃないかと不安になったけど、どうせこれからの職場も理系 only だから変わらないかと思った。

下の一節なんかは、理系(というか工学系、情報系)なら誰でも一度は体験したことあるんじゃないのかな。

「でもコンピュータやロボットが発達してきたから、これからは人間がモノを作るなんてことは少なくなっていくんじゃないですか」
それを聞いた時、本気で腹が立った。コンピュータやロボットが勝手に発達していくと思うのか、そもそもおまえはそれらのことをどれだけ知っているのか、と。